島根県議会議員 池田はじめ

夢ある郷土づくり

質疑応答

これからの地方自治についての考えを聞かせてください。

三位一体改革が進んでいくと、地方への国庫補助金が減る代わりに地方交付税が見直されていきます。今後私たちは限られた財源の中で「自分たちの地域は自分たちで作る」という積極的な自治を行わなければなりませんが、それぞれの地域の生活にふさわしい政策を研究、立案、決定、執行することが大変重要になってくると思います。もちろん検証、修正もしなければなりませんが、「地域をより良くしよう」という住民の関心が高まれば、市民活動も盛んになり、意見が行政に反映されることで、暮らしも大きく変わってくるのではないでしょうか。もう「お任せ政治」の時代は終わりました。住民が行政に参加しやすい環境を作り、住民の知恵や創意工夫を生かした地域づくりを推進することが大切です。私たちはこれ以上子供たちの世代の負担を増やすようなことをしてはならないと思っています。これからは知恵と工夫を出し合った行政と住民一体となった取り組みをしっかり進めていかなければなりません。

 

 

島根県は老齢人口比率が全国一高い県です。これからの高齢化社会に向けて、どのような考えを持っていますか?

高齢者が安心して幸せに暮らせることを第一に考えています。必要な施設の充実はもちろんですが、お年寄りが生きがいを持って活躍できる場所を増やし、そのような活動に取り組んでいるグループや団体を支援していくことが必要だと考えています。また、病気予防の観点から、お年寄りの体力づくりの推進、かかりつけ医の奨励などを考えています。地域全体での支援体制も必要になってくると思います。自治会ごとにお年寄りの生活を把握し、手助けできるシステムが構築できないか。好事例をどんどん取り入れて、全国の模範になるような、お年寄りが暮らしやすい地域づくりを進めていきたいと思っています。

 

 

同じように少子化も大きな問題になっています。それについてはどうですか?

少子化の原因はいろいろあると思います。 ①子育てする環境の問題 ②経済的な問題 ③教育、就職を含めた子供の将来についての不安などです。 ①については保育園待機児童の解消、病後時保育施設の設置、育児休業制度の推進など、子育て環境の整備を進めていくこと。 ②については子育てに関する各種手当の充実と経費負担の軽減を出来る限りやっていくこと。③については教育の充実が何より欠かせないと考えています。限りある財源は有効に使わなければなりません。子供は地域全体の宝だという認識のなかで、地域の人々とふれあう機会を設け、のびのび遊び、学べる場所を作っていくなど、みんなで知恵を出し合って安心して子育てが出来る環境を作っていければと思っています。高齢化問題と同様、有効な対策を県全体に広げていくことで、少しずつ改善できるのではないでしょうか。

 

 

教育について、具体的にはどのような考えを持っていますか?

教育については、住んでいる地域全体で見守っていく必要があると思います。子供たちにとって、学校は必要とされる教育を受ける場所というだけではありません。楽しく、充実した生活を送ることが出来る場所でなくてならないと思います。それを支えるのは学校、家庭だけでなく、生まれ育った地域の役割が重要だと思います。地域の人々とのふれあいの中で、郷土を愛する心を育み、小さい頃の家庭や保育園、幼稚園での情操教育。そして学校に入ってからは学校生活やクラブ、部活動で培った思いやりや協調性。それらをしっかり根付かせて、個人の尊厳と公のバランスがきちんと取れた子供たちに育てていくのは、学校や家庭ばかりでなく、地域に住んでいる大人たちの協力が必要ではないでしょうか。これからは教育制度に関しても地方への権限委譲が進んでいきます。私は子供たちが社会に出ても十分対応できるように、優れた人間性と自立心に富んだ国際感覚豊かな子供を育てることが出来る教育体制、制度を早急に確立し、実施、検証していかなければならないと考えています。その中で重要なのは地域とのかかわりだと思います。学校づくりを地域全体で考え、支えていく体制をとっていくことが必要だと考えます。

 

 

島根の産業振興について、どのように考えていますか?

島根は東京や大阪などの大消費地から遠く、物流の面において大変不利な立地条件となっています。県も企業誘致を盛んに働きかけていますが、なかなか厳しいのが現実です。しかし、その中でも県内で業績を伸ばしている企業や業種は沢山あります。そのような企業を県全体で支援し、また一方でそこから学べることを生かし、広めていくことで産業の活性化が図れないかと考えています。島根が今持っている長所を生かし、将来性のある産業振興を考えることが大切です。そしてそれを本気になって県全体で支援することです。最近、道州制に関する議論が活発になってきました。今後中国他県で躍進している優良企業の生産拠点を積極的に誘致することなどは、これから大きな意味を持ってくるのではないでしょうか。アジア各国との貿易拡大を図ることも今後重要になると思います。これについては企業単独で推し進めることはなかなか出来ません。将来に向けて必要な湾岸整備や軌道に乗るまでの支援策などについては県として考えなければならない問題だと思います。とにかくこれからは官民一体となった計画の推進が必要だと思います。

 

 

農業についてはどのように考えていますか?

農業については従事者の高齢化、後継者不足などが大きな問題となっていますが、それを解決するには農業をやりたいと思う夢のあるものにしなければならないと考えています。大切なのは消費者のことをしっかり考えることだと思います。消費者は本当に欲しい物、必用な物を買いたいと考えています。それは何なのかをまずは知ることだと思います。売れるものは何なのか。これからは消費者の需要に合わせ、また需要を開拓して供給することが重要になってくるのではないでしょうか。そして特産品、ブランド品を作っていくことも必要ですが、商品をアピールするだけでなく、海外を含め、継続的に売り込める場所を開拓することが大事なポイントになってくると思います。どこで何が足りないのか、何が必要とされているのか。国の食料自給率(カロリーベース)は 40 %。島根ですら 63 %です。地産地消をさらに推進し、これからは末端消費者までのことを十分に考えた官民一体となった取り組みが必要になってくると思います。

 

 

環境問題について、どのようなお考えをお持ちですか?

島根は県土の三分の二が森林であり、長い海岸線ときれいな川、そして日本有数の湖水地帯を有しています。この恵まれた自然環境を守り、将来に伝えることはわれわれ県民だけでなく、日本にとっても大変重要なことだと考えています。現在県では環境保全に取り組む様々な活動を展開し、支援しています。学校でも環境保全活動が盛んに行われており、子供たちの関心も非常に高いです。そばらしいことだと思います。「出来ることから少しずつやっていく。」環境問題に子供の頃から取り組んでいるこのような姿勢が、私たちの暮らしや心をさらに豊かにしていくのではないでしょうか。また、自然環境に左右されやすい特産品も私たち県民にとっては大きな財産のひとつです。それらをしっかり守ることも私たちの大切な役目だと考えています。環境問題については、行政の積極的な支援や啓蒙活動をさらに進め、国に対し言うべきことははっきり言い、行政と地域住民が一体となって環境保全の取り組みを継続的に粘り強く推進していくことが大切だと思います。

 

 

地域、 まちづくりに関して、考えを聞かせてください。

高齢化問題のところでも触れましたが、「安心」「安全」で暮らしやすい地域づくりの原点として、「自治会」の役割を重視し、活動を支援していくことが一番だと思います。お年寄りや子育ての支援にしても、防災、防犯にしても、地域全体で助け合っていく方法を考え、それを支援していくようにすれば、かなり有効な政策になると私は考えています。たとえば地域に必ずある公民館や研修館を、昼間はお年寄りに開放し、ボランティアの習い事や体力づくりに使ってもらい、午後は子供たちとの交流の場、遊び場として使うようにするなど。やり方はいろいろあると思いますが、地域の様々な世代の人々とのつながりの中で、「地域力」を高めてもらえば、それはいろいろな面で生きてくるのではないでしょうか。ただ、県内には過疎地域が多く、コミュニティを作るにも作るだけの軒数がない地域が沢山あります。将来のためにもそ早急に有効な手段も模索し、それを実施、検証していくことが必要なのではないかと思います。