7月, 2013年

茹で蛙にならない

2013-07-28

7月28日(日)
「日本の常識は世界の非常識」ってことを、私は何度も言ってきました。
それは日本の日頃の慣習や人々の考え方だけを言っているわけではありません。
私たちは日本国内にいて、その中でしか生活してないという感覚で物事を考えたらいけないと思うのです。
日本国内にも様々な問題はありますが、それ以上に世界各国、各地域には深刻な問題がたくさんある。言ってみれば日本より厳しい状況にある国と地域がほとんどです。度重なる紛争、不安定な政治、あるいは国家圧力。そのような中で人々は暮らさなくてはならない。働いてその日食べていければそれで充分。厳しい環境の中、満足な保証や法律もない中で、信じられないような低賃金で彼らは働いています。
日本のデフレや、雇用の厳しさは、グローバル化の波の中で、それらの国々との競争にさらされた結果なのです。
だから「日本」本位で、それを基準に、それを常識として物事を考えてはならないのです。
「仕事がない」「給与が安い」といくら叫んでも、例えば日給300円、月給1万円以下で働いているバングラデシュで作られているものと同じものを同じ値段で作ることができますか?
全てがそういうことです。
世界中で作られている「物」と価格競争をしなければならない。輸送コストを差っ引いても太刀打ちできないものを、全て「関税」で保護することなど、出来るはずもありません。
グローバル化とは、世界中が市場となる「供給先」であると同時に「供給元」となるということを、我々は理解した上で物事を考えていかなくてはなりません。
先日、トヨタが新興国でのエンジン製造を増強し、部品の現地調達を増やすことを発表しました。報道ではまずは小型車エンジンのみということでしたが、近い将来日本にも輸出される事になるのではないでしょうか。
「製造コストの高い日本から海外へ」これが現実です。
それはいずれ日本人の雇用と給与に跳ね返ってきます。
世界の動きを注視していないと、「知らず知らず」のうちに状況が厳しくなっていく。
それを慌てふためいて「雇用確保」「給与引き上げ」と叫んでも、日本は他国よりは全然恵まれた状況にあるわけですから、どうにもならない。政治で対処できる事をやり尽くしたとしても、日本の1/10〜1/20の給与で働いている国々で作られている「物」とオープンで争うことなど、所詮不可能。
政治は出来得る最善の対応をする。その上で世界との競争に打ち勝つ。その為には他でなし得ない最先端の技術、製品を引っさげて海外に打って出るしかないと私は思います。

だから敢えて言います。
日本国内ばかり見ていてもしょうがない。
日本国内ばかり見て文句ばっかり言ってもしょうがないのです。
文句をいう内容も含めて、世界中の国々がどんな状況かしっかり知った上での議論をしていかないといけないと思います。

スズキはインドネシアに1000億円の工場か…。ホンダ、日産も続くようです。
日本人は茹で蛙になったらいけないと思うのですが、じわりじわりだとわかりにくいですかね。

初めてのキャッチボール

2013-07-27

7月27日(土)
久しぶりに上京しています。
5月臨時議会から6月定例県議会。そして参議院議員選挙と、曜日の感覚が全くなくなるくらい、本当に息つく暇がありませんでした。
今思えば、会社勤めしていた頃もまともに休むことなどできませんでしたが…。
その厳しい経験があったからこそ、今の仕事がしっかり出来ていると思っています。

「嫌で厳しい仕事は前向きに進んでしろ!」

社会に出て自分の好きなことばかり出来るなんて、絶対あり得ない。
子供達にこの事だけはしっかり言っておきたいと思います。

さて、上京する時に飛行機に乗るわけですが、楽しみにしているのがJALの機内誌「SKY WORLD」です。構成もしっかりしてるし、内容も本当に充実しています。そこらに売っている雑誌よりよっぽどいい。編集する人たちがしっかりしていると思います。
私はいつもそんな目で物事を見てしまいます。長年の癖ですかね。
その機内誌の中で一番楽しみにしているのが、浅田次郎さんのエッセイ「つばさよつばさ」です。短い文章ですが、本当に日常的なほのぼのするようなお話が多く、読んだあといつも「ニンヤリ」してしまいます。
でも、今回は少し違いました。「ウルっと」してしまったんです。

話は戦後間もない浅田さんが小さい頃の事です。近所の神社でお兄さんとキャッチボールしていたら、身なりの貧しい見知らぬ若い大柄な男の人が長い時間じっとそれを見ていました。「なんですか?」と訊ねると、「僕にもやらせて欲しい」と、その男は言ったそうです。恐々というか、仕方なく浅田さんが代わってあげたら、その男の人は全くボールが取れない。その度に「すみません。すみません。」と謝るのですが、聞けば自分はモンゴル人で、近くの国学院大学に留学しているとのこと。グローブに触ることもキャッチボールをすることも初めてだったのです。やっているうちにだんだん上手くなって、最後は球を取れるようになりました。別れ際、そのモンゴル人学生は、まだ子供である浅田兄弟に「どうもありがとうございました」と深々と頭を下げ、借りたグローブを丁寧に返したそうです。
その後浅田兄弟はその男の人を見ることは二度とありませんでした。
私は見てもいないのに、その一部始終の光景が目に浮かびました。不覚にも涙が出ました。
暮らしを切り詰めて留学していた男の、その謙虚さに心を打たれたのです。

今、相撲界ではたくさんのモンゴル力士が活躍しています。彼らは総じて礼儀正しく、厳しい日本の相撲界でも辛抱し、優秀な成績を納め、横綱白鵬をはじめ多くの力士が上位にいます。
モンゴルの人々が持つ気質でしょうか。

今日はもう7月27日。今月号が見られるのもあと5日です。
飛行機に乗られる方、ぜひ読んでください。
感動です。

デトロイト市財政破綻のニュースを聞いて。

2013-07-20

7月20日(日)
毎日朝早くからNHKBSのワールドWaveを見ていますが、今朝のデトロイト市財政破綻のニュースはショッキングでした。
一歩中心市街地を離れると全くのゴーストタウン。200万人以上もいた人口も、今や70万人。警察官や消防士も足りず、治安維持もままならない現状が映し出されました。

アメリカの悩める現状です。

今、ノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツ博士の著書「世界の99%を貧困にする経済」を読んでいます。
まだ途中ですが、アメリカの富の分配の不合理さをこれでもかと露わにしています。アメリカ社会の高水準の不平等は政治によるものであり、それは「レントシーキング」に支配された市場によるものだとしています。
つまり企業に都合の良い「行きすぎた」政策の推進です。
もちろん、雇用や産業を守るためには、必要な支援、法律が必要です。アメリカはそれをやりすぎたということです。
現在でも世界中で同じような不幸な状況にある国々がたくさん存在します。

今回のニュースを聞いて、社会資本の重要性を再認識しました。国や地域に根ざした「社会規範」の重要性です。ブータンでは森林保護のために自家消費のために一世体当たりに伐採できる木の本数が決められていますが、どうやってこの法律を厳守させるか。それは社会資本のおかげです。「木は大切だから守らなくてはならない」ということが、国民的知識としてあるのです。また、灌漑用水に頼るしかないバリ島では、協働によって水を管理することで人々の結束が強く、社会資本に対する感覚も強くなっています。
みんなでお互いにルールを守る社会を築いているのです。

アメリカのデトロイトはどうか。
インタビューで市民が「怖くて郊外には行けない。」と嘆いていました。
社会資本が育っていない社会、秩序がなく自分のことしか考えない社会。破綻したのは財政ばかりではありません。
立て直すにはかなりの時間がかかると思います。

日本は違います。
あの東日本大震災でも、被災された方々の整然とした行動は全世界から賞賛を浴びました。
地域の「絆」、人々の助け合いといった「社会資本」がしっかり生きている。残っている。
それをどうやって将来に残していくか、我々に課せられた使命だと思っています。

グローバル社会が進み、世界中との繋がりがますます増えてきました。TPPなどの外交交渉の先行きも懸念されますが、日本が長年培ったこの貴重な「社会資本」をいかに育み、残していくか。政治の大きな仕事だと思います。
社会資本はお金では買えません。これを守り、健全な日本を継承していかないと。
今朝のニュースはそれを考えさせられました。

本もあと残り半分。今日中に読み終えて、書かれている内容を心に刻みたいと思います。

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