7月28日(日)
「日本の常識は世界の非常識」ってことを、私は何度も言ってきました。
それは日本の日頃の慣習や人々の考え方だけを言っているわけではありません。
私たちは日本国内にいて、その中でしか生活してないという感覚で物事を考えたらいけないと思うのです。
日本国内にも様々な問題はありますが、それ以上に世界各国、各地域には深刻な問題がたくさんある。言ってみれば日本より厳しい状況にある国と地域がほとんどです。度重なる紛争、不安定な政治、あるいは国家圧力。そのような中で人々は暮らさなくてはならない。働いてその日食べていければそれで充分。厳しい環境の中、満足な保証や法律もない中で、信じられないような低賃金で彼らは働いています。
日本のデフレや、雇用の厳しさは、グローバル化の波の中で、それらの国々との競争にさらされた結果なのです。
だから「日本」本位で、それを基準に、それを常識として物事を考えてはならないのです。
「仕事がない」「給与が安い」といくら叫んでも、例えば日給300円、月給1万円以下で働いているバングラデシュで作られているものと同じものを同じ値段で作ることができますか?
全てがそういうことです。
世界中で作られている「物」と価格競争をしなければならない。輸送コストを差っ引いても太刀打ちできないものを、全て「関税」で保護することなど、出来るはずもありません。
グローバル化とは、世界中が市場となる「供給先」であると同時に「供給元」となるということを、我々は理解した上で物事を考えていかなくてはなりません。
先日、トヨタが新興国でのエンジン製造を増強し、部品の現地調達を増やすことを発表しました。報道ではまずは小型車エンジンのみということでしたが、近い将来日本にも輸出される事になるのではないでしょうか。
「製造コストの高い日本から海外へ」これが現実です。
それはいずれ日本人の雇用と給与に跳ね返ってきます。
世界の動きを注視していないと、「知らず知らず」のうちに状況が厳しくなっていく。
それを慌てふためいて「雇用確保」「給与引き上げ」と叫んでも、日本は他国よりは全然恵まれた状況にあるわけですから、どうにもならない。政治で対処できる事をやり尽くしたとしても、日本の1/10〜1/20の給与で働いている国々で作られている「物」とオープンで争うことなど、所詮不可能。
政治は出来得る最善の対応をする。その上で世界との競争に打ち勝つ。その為には他でなし得ない最先端の技術、製品を引っさげて海外に打って出るしかないと私は思います。
だから敢えて言います。
日本国内ばかり見ていてもしょうがない。
日本国内ばかり見て文句ばっかり言ってもしょうがないのです。
文句をいう内容も含めて、世界中の国々がどんな状況かしっかり知った上での議論をしていかないといけないと思います。
スズキはインドネシアに1000億円の工場か…。ホンダ、日産も続くようです。
日本人は茹で蛙になったらいけないと思うのですが、じわりじわりだとわかりにくいですかね。